【第4章】購入のプロセスと資金の流れ
〜タイ不動産は“お金の流し方を間違えたら買えない市場〜

本章では、タイ不動産購入における最も重要かつトラブルが多い領域である「資金の流れ」と「登記プロセス」について解説します。結論から言うと、タイ不動産は“お金の流し方を間違えたら買えない”市場です。

特に外国人によるコンドミニアム購入では、 FET(海外送金証明)=最重要書類となります。

海外送金証明書(FET)とは何か

FETとは「Foreign Exchange Transaction」の略称で、「海外から外貨で資金を持ち込んだこと」を証明する銀行発行書類です。

外国人名義でタイの土地局に所有権移転の申請をするためには、FETと言われるものが必要になります。FETを正式に日本語にすると「外国為替取引証明書」といいます。一般的にはその書類の特性から海外送金証明書と言われており、タイ国外から資金を送金してきたことを証明する、タイ側の銀行が発行する書類のことをいいます。

この書類がないと外国人名義での所有権移転ができません。ではなぜそうなっているのかというと、外国人がコンドミニアムを購入する際に「正規の送金ルートで外貨を持ち込みました」と証明しなくてはならないからです。しかもこちらは送金元の現地通貨で送金して、タイでタイバーツに両替することも義務付けられています。

ここから読み取れることとして、キャリーで持ち込んだキャッシュや暗号通貨などの資金をタイ国内で換金した資金で不動産を購入することを抑制していると推察されます。不正資金の流入防止、外貨流入の管理、不動産市場の健全化というタイの国家的な目的があります。

またタイ国内でタイバーツで得た収入を利用して、タイで外国人枠物件を購入することも基本的にはNGです。唯一の方法としては、タイの銀行でマルチカレンシー口座を開設・保有して、その口座内で移動することでもFET取得は不可能ではないのですが、こちらはその際に一度銀行に相談した方が無難です。また2度換金することになりますので、銀行の為替レートと手数料で4%〜5%ほどは目減りすると思います。

FETの取得方法

それでは、FETをどのように取得するかを解説しましょう。流れとしては下記になります。

  1. 海外口座 → タイの銀行へ送金
  2. 受取銀行で着金確認
  3. 銀行にFET発行依頼
  4. FET受領(原本)

そして、送金の際の注意事項として

  1. 購入者本人名義であること
  2. 送金目的として、コンドミニアム&ユニット番号も合わせ明記があること
  3. 「Purchase of condominium」や「Property investment in Thailand」など明記があること
  4. あくまでタイバーツ以外の外貨(JPY/USDなど)でタイに送金してくること
  5. タイ国内で外貨からタイバーツに両替される必要があること(タイ側の銀行で処理)

などがあり、これらを熟知しているエージェントが以外と少なく、タイの土地局で所有権移転登記できない問題で弊社にも過去に多くのご相談が寄せられており、そのほとんどは上記の注意事項が守られてないことによるものでした。

上記の事項を全て厳守の上、下記記載内容にて、FET取得は可能になりますが、購入の際に再度仲介エージェント、デベロッパーにご確認ください。弊社でも購入のサポートだけも行っておりますが、通常の仲介手数料(物件価格の3%:最低金額10万THB)をいただくことになりますのでご了承ください。

Purpose of Remittance:

For purchasing a condominium unit in Thailand under foreign quota.

Buyer

[Your Full Name as per Passport]

Project

[Condominium Name]

Unit Number

[Room Number]

The funds are remitted from overseas in foreign currency for property purchase and compliance with Thai Condominium Act.

契約〜所有権移転登記まで

タイでの不動産(特にコンドミニアム)購入の流れをご説明します。

1.物件選定完了後、予約金(Bookig fee)を支払いします

こちらは物件の売主からの指定金額となり物件の売買金額にもよりますが、5〜30万バーツもしくは販売物件の10%までが一般的です

※この段階ではまだ正式契約ではないですが、キャンセル時は返金不可が一般的です(通常物件を押さえるための予約金なので、最大30日間までが限度です)。

2.売買契約書(SPA)を締結します

主に、売買金額、支払いスケジュール、引き渡し条件(通常原状有姿です)、違約金の条件などが確定します。この時に、1の予約金とは別途頭金の支払い要請がある場合もありますが、FQ物件でFETを必要としている場合は、下記の5にて一括決済になるのが通常のパターンです。

3.海外送金

外国人は前章にてご説明したようにFETを取得するために、海外からタイに送金を行います。

4.書類準備

購入者やエージェントによる書類準備を行い、スケジュールの目処が立ちましたら管轄の土地局に物件の所有権移転登記日の予約をします。

また、FQ枠の確認、チャノード(タイの権利証)の確認、無債務証明書発行の依頼などをおこないます。

※無債務証明書とは、売主が物件の管理費・公共料金の未払いがないことを証明するもので、通常一週間ぐらいにて発行されます。

5.所有権移転登記

管轄の土地局にて決済を行い、所有権移転登記手続きを行い完了したら、チャノードに買主名義が記載されて正式に所有者になります。

売主、買主(もしくは双方の代理人=エージェント)が出席して、キャッシャーズチェックによる残金決済、所有権移転時費用、諸税を支払い、所有権移転登記は完了します。

この章まとめ(本質)

FETのミスは致命的になり、FQ物件はタイ国内収入では基本的には購入不可です。新築デベロッパーから購入する際は、スキームは整っていますが、リセール物件は個別交渉になり、契約条件で諸費用の負担金額は大きく変わりますので注意したいところです。

契約してお金まで支払ったけど、所有権登記ができないと事例は私も何度も目にしておりますし、その契約のリカバーも何度も行ってきました。理由の一つとしてFETのミスは幾度となくみております。

タイ不動産購入において最重要なのは、「資金の流し方」と「書類の整合性」
特に、

  •  FETの取得ミス=致命的
  • FQ物件=国内資金では原則購入不可

この2点を理解していないと、契約全てが水の泡になるという最悪の事態になります。

タイ不動産は、「物件選び」より「資金設計」の方が重要です。どこから送るか、どう送るか、何と記載するかなど、ここまで設計して初めて外国人が安全に外国人名義で購入できることになります。