【第5章】タイ不動産の「税金」と「出口コスト」を理解する
〜買った瞬間より“売る時”に差が出る〜

タイ不動産投資において、多くの日本人投資家が見落としがちなのが「出口コスト」です。

日本では「買値ー売値」で利益を考える方が多いですが、タイでは売却時に発生する税金・登記費用の影響が非常に大きく、想定以上に利益が圧縮されるケースがあります。

特にタイでは、

  • 土地局(Land Office)での移転費用
  • 売却税金
  • 仲介手数料
  • 外国人特有の送金関連コスト

などが存在し、「思ったより利益が残らない」というケースが少なくありません。

そのため、タイ不動産では「いくらで買うか」よりも、「いくらで売却できるか」 と 「その時いくら残るか」を理解することが極めて重要です。

タイ不動産の代表的な売却コスト

タイの不動産売買では、土地局にて所有権移転を行う際に、様々な税金・費用が発生します。

主なものは以下の5種類です。

項目
目安
Transfer Fee
登記手数料
2%
Specific Business Tax(SBT)事業税
3.3%
Stamp Duty
印紙税
0.5%
Withholding Tax 源泉税
条件次第
仲介手数料、
その他

1.Transfer Fee(移転登記料)2%

基本は「評価額 × 2%」

これは日本でいう「登記移転費用」に近い存在で、土地局で所有権を変更する際に発生します。

ポイントは、「売買価格」ではなく「政府評価額」ベースで計算されることがある点です。

誰が払うのか?

実は法律上、

  • 買主負担
  • 売主負担
  • 折半

どれでも可能です。

つまり、契約で自由に決められる ということです。バンコクでは買主負担文化もありますが、パタヤでは後述する「パタヤルール」が強く存在します。

2.Specific Business Tax(SBT)3.3%

タイ不動産で最もインパクトが大きい税金

SBT(Specific Business Tax)は、不動産を営利目的で売却する際に課される税金です。実務上、多くの外国人投資家が売却時にこの税金対象になります。

計算は、売買価格 or 政府評価額の高い方 × 3.3%となるケースが一般的です。

なぜ 3.3%なのか?

内訳は、

  • SBT本体:3.0%
  • 地方税:0.3%

合計で 3.3% になります。

保有期間で免除になるケースもある

タイ人の自己居住用不動産などでは、一定保有期間を超えるとSBT免除となるケースがあります。

ただし外国人投資家は、

  • 投資目的
  • 賃貸運用
  • 短中期売却

が多いため、実務上はSBTを前提に考えるケースが多いです。

3.Stamp Duty(印紙税)0.5%

ここは非常に誤解が多いポイントです。

SBTが発生する場合、通常は印紙税は発生しない

ここは非常に誤解が多いポイントです。

つまり、

  • SBT 3.3%
  • Stamp Duty 0.5%

を両方払うわけではありません。そのため、

「2% + 3.3% + 0.5% = 5.8%」

という単純計算は誤りになりやすいです。

本講座で重要なポイント

タイ不動産では、「税率を暗記する」より、どちらが適用されるか?を理解することが重要です。

4.Withholding Tax(源泉税)

ここが最も難しいポイントです。

法人と個人で全く違う

法人売主の場合、実務上「 約1%」として説明されることが多いです。ただしこれは簡略説明であり、厳密には利益計算等が絡みます。個人売主の場合非常に複雑です。

以下によって変動します。

  • 政府評価額
  • 保有年数
  • 控除
  • 累進税率

つまり、「源泉税=1%」とは言い切れません。

実際どのくらいコストがかかるのか?

実務上の感覚値

外国人投資家向けの実務では、

タイミング
目安
購入時
約1%
売却時
約5.3%

程度を見込むことが多いです。

具体例

例えば、

  • 1,000万バーツのコンドミニアム
  • 為替:1THB=5円

の場合、売却時コスト5.3% = 53万バーツ、日本円換算で約265万円ものコストが発生します。

5.仲介手数料、その他

最後に、

  • 不動産仲介手数料
  • 日本に資金を戻す場合は、日本への送金費用

なども発生します。弊社では売却時の仲介手数料は5%となります。

つまり、「買値より高く売れた=利益」ではなく、出口コスト控除後で利益が残るか?が極めて重要になります。

パタヤルールとは?

これはタイ不動産でも非常に面白い文化です。

パタヤ独自の商習慣

タイ全体では、

  • SBTは売主負担
  • Transfer Feeは折半

などがありますが、パタヤでは実務上、

「Transfer & Tax 50/50」

つまり、 1〜4の費用を全て折半するケースが非常に多いです。

なぜパタヤだけ??

パタヤは外国人投資家市場が大きく、

  • キャッシュ取引
  • 投資売買
  • 転売市場

が活発なため、「全部50/50でシンプルに」という文化が形成されました。

物件資料での表記

パタヤ物件ではよく、「Transfer & Tax 50/50」と記載されています。これは、「税金・移転費用は折半」という意味です。

この章で一番お伝えしたいこと

タイ不動産投資では、「買う時」より「売る時」の理解が重要です。

特に日本人投資家は、

  • 利回り
  • 値上がり
  • 為替

に注目しがちですが、実際には

  • 税金
  • 土地局費用
  • 仲介手数料
  • パタヤルール
  • 為替差損

によって利益が大きく変わります。タイ不動産は“出口戦略” を理解している人ほど失敗しにくいです。

特にパタヤでは「Transfer & Tax 50/50」文化があるので、買う前に 「売る時のコスト」を必ず逆算してください。日本人は購入価格だけを見がちですが、実は「売却時に何%消えるか」が非常に重要です。